スタートライン写真

この指とまれ!  (第37回)

 卯月(陰暦四月)になりました。  卯月は、卯の花が咲く季節なので、「卯の花月」の略とする説が有力とされています。卯月の「う」は「初」「産」を意味する「う」で、1年の循環の最初を意味したとする説もあります。
 卯の花とは、ユキノシタ科ウツギ属の落葉低木である空木(うつぎ)の花のことです。日本原産です。5月頃に白い5弁の花を沢山咲かせます。幹の中が中空で、空ろな木だから「空木(うつぎ)」だということです。
 また、卯の花は童謡の『夏は来ぬ』(作詞:佐佐木信綱、作曲:小山作之助に1896年に発表された)の歌詞にも出てきます。♪「卯の花のにおう垣根に ほととぎす早も来鳴きて・・・」歌われています。
 1年の循環の最初を意味すると言えば、新入学・新社会人・新緑・・・?と、正月の次に『新』という言葉の似合う時期だと思いますが。皆さんはいかがでしょうか?  日本列島南から桜のお花見の便りもあれば、 北は雪解けと共に芽吹く緑や目覚めはじめた動物たちにつられて元気が出る季節でもあります。
  新年度の卯月、親子共々に期待と不安の入り交じった小学校への入学。そんな心情を詠んだ俳句二句を紹介します。
入学児に鼻紙折りて持たせけり     杉田 久女
 子供の小学校入学に際し、若き母親はいささかの緊張とともに冷静にやさしく鼻紙をきちんと折って持たせた、頑是ない子もきちんとそれを握りしめた様子である。  鼻紙であればこその入学児のあどけなさ、母親ならではの頬ずりしたくなるような情愛がにじみ出るのである。
一人だけ口とがらせて入学す     福島 胖
 期待と不安でこれほど胸を高鳴らせるのはやはり初めての入学式である小学校をおいてないだろう。 親はよその子と同じように元気に小学生になってくれたことが嬉しくて仕方がない。 そんな晴れがましい場で、笑顔で胸を張る新一年生のなかでただ一人、わが子だけが不機嫌に口をとがらせているのを目撃してはっとする。 いつもの癖かもしれないし、緊張からなるものかもしれない。それを微笑ましいとするか、落胆するかは親次第。 (出所:増殖する俳句歳時記)
『小学校入学前後の時期、保護者の気がかりと心がけたいこと』
 子どもに新しい環境で成長してほしいという期待と同時に、上手くやっていけるだろうかという不安をお持ちのことと思います。 今回は、「新小学1年生」に焦点をあてて、環境の変化によるいろいろな問題と、その解決策についてお話ししたいと思います。
 「学びに向かう力」としとて、「人に自分の気持ちを伝えたり、相手の意見を聞いたりすることができるか」で、年長児に35.7%だったのが小学入学を機に17.1%と激減します。
 要因はひとつではないはずですが、環境の変化が影響している可能性は高いと思います。一体、保育園や幼稚園と小学校では、何が違うのでしょうか。ここでは、違いを3つにまとめてみました。
 第一に「時間の使い方」が変わります。
 幼稚園・保育園では「午前中の活動」「昼食」「午後の活動」「おやつ」「午後の活動」というように、時間を大くくりにとらえ、そのなかで自由度の高い内容を柔軟に取り入れた活動が中心でした。 ところが小学生になると、朝のホームルームから始まり、その後は45分の授業が短い休み時間をはさんで規則正しく進んでいきます。
 たとえば、絵を描くのは「図工の時間」と決まっています。そして、チャイムがなったら、途中でも一旦活動を中止しなければなりません。
 第二に、活動の中心が「遊び」から「勉強」へと変わります。
 小学校に入ると、国が定めた「学習指導要領」にもとづいた教科書が配られ、教科書の内容を授業で学ばなければなりませんし、学力の評価も加わります。
 第三に、自分自身でしなければならないことが増えます。
 たとえば、幼稚園や保育園へは保護者が送り迎えをしていたのに、小学校では、登下校には保護者はついていきません。 教室には自分の机やロッカーがあり、その周りの整理や片付けは、自分でします。読み聞かせの時間も減り、「自分で読む」ことが増えます。
『家庭で心がけたい3つのこと』
 学校では、さまざまな工夫をしながら1年生を迎え入れる準備を行っているわけですが、それに対し、家庭ではどのようなことを心がけていけばよいのでしょうか?  いろいろとやらなくてはならないと不安に思われるかもしれませんが、わたしは3つのポイントさえ押さえれば十分だと思います。
 第一に、子ども自身が「できない」と思わないように、家では子どもに「自信を持たせる」ことです。
 「自信を持たせる」には、小さな目標をつくってそれを達成する経験を積むことが必要です。 家でのお手伝いを「玄関掃除はあなたの仕事だよ」というように、子ども自身に責任のある「役割」として自覚させると、それができたときに、自分の成果として達成感を感じやすいのではないでしょうか。 そして、子どもが仕事をやり終えたときには大げさにほめてあげると良いと思います。
 第二に、片付けの習慣をつけることです。
 小学校では、決まった時間の中で活動をすることが増えますので、自分をコントロールする力を身につける必要があります。 たとえば、使ったものをきちんと元の位置に戻すことを、子どもと一緒にしてみるのもよいかもしれません。 片付けは、行動に見通しをつけたり、次に使いやすいように工夫したりするなど、自分の行動を調整する力の育成につながっているのです。
 第三に、「勉強」を楽しい日常生活の一部にしていくことです。
 小学生になって、すぐに教科書とノートを開いて勉強するようにはなりません。ある学校で伺った話ですが、たとえば、毎日夜におじいちゃんに電話をして、今日一日で一番楽しかったことを話す習慣をつけたりすると、ことばの力がついていくようです。
 また、たとえば、どんぐりをたくさん集めるだけでは数を数えないけれど、首かざりをつくるために穴をあけようとすると数を数えるようになっていくのだそうです。日常生活の中で、学びにつながるいろいろな仕掛けができると良いのではないでしょうか。
 入学の時期は、1年生になった我が子に「一段と成長してほしい」と期待がふくらむ時期です。そして、子どもの成長を支えているのは、日常のちょっとした工夫の積み重ねだと思います。
 (出所:Benesse次世代育成研究所「幼児期から小学1年生の家庭教育調査(2012))